
芸達者度 ★★★★★
あらすじ:サイレント映画のスター、ドンとリナは到来したトーキーの波に押されて映画をトーキーに作り変える。だが、リナは致命的な悪声の持ち主だった…
映画がサイレントからトーキーへと移り変わる時代を描いた楽屋裏ミュージカル(1952)。
世界初のトーキー映画と言われる1927年の「ジャズ・シンガー」(実際には全編ではなく一部トーキー)をきっかけに、急激に変化する映画界のドタバタを希望と皮肉を交えて描いている。
主演は監督も努めたジーン・ケリー、親友コズモ役にドナルド・オコナー、ドンと出会う舞台女優キャシー役にデビー・レイノルズ、顔は良いが声は醜いリナ役にジーン・ヘイゲン。バレエシーンでの共演はシド・チャリシー。
この映画の魅力はテンポの良い脚本とユーモラスな台詞回し、そして色彩豊かな映像と愉快なダンスシーンの数々だ。
それらを一流の演技と音楽と踊りで見せる主演3人は本当に素晴らしい。
ケリーがずぶ濡れになって「Singin' In The Rain」を歌うシーンはあまりにも有名だが、オコナーの超技に思わずポカーンとする「Make 'Em Laugh」、ケーキから飛び出したレイノルズが天真爛漫に踊る「All Do Is Dream Of You」、3人が華麗なタップを見せる「Good Morning」などポップなナンバー盛りだくさん。
50年以上前の作品なのでたまにカットの繋ぎ目が分かるが、カメラワーク・色彩センスなど今見てもスタイリッシュで古臭さを感じない。
舞台装置の夕焼けをバックに愛を歌う「You Were Meant For Me」や、終盤を飾る壮大なナンバー「Broadway Melody Ballet」で、3mほどもある白い布を風になびかせ踊るシーンは特に美しい。
こんなにカラフルでロマンティックで愉快なミュージカルは今まで見た事がなかった。軽くカルチャー・ショックだ。
まさに映画史に残る名作。
ただ、ドンとキャシーのラブロマンスを描いているので軽く扱われているが、リナって結構可哀相だよな…。
笑い者のバカ女に仕立てられているものの、リナのように声や発声の悪さを露呈し人気が低迷したスターも実際にいたわけで、気の毒としか言えない。
それもまたハリウッドの光と影ってやつか。
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