太陽の首都

洋楽・洋画・本の鑑賞メモ。時々ネタバレ。
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イースタン・プロミス 

イースタン・プロミス [DVD]
あらすじ:助産婦のアンナが働く病院に10代の若い妊婦が運び込まれ出産直後に息を引き取る。少女のバッグからロシア語で書かれた日記を見つけたアンナは、妊婦の身元を調べるうち…

「ヒストリー・オブ・バイオレンス」のタッグ再び。ヴィゴ・モーテンセン主演、デヴィッド・クローネンバーグ監督によるロンドンの裏社会をバイオレントに描くクライム・サスペンス(2007)。
クローネンバーグというと「ザ・フライ」「ヴィデオドローム」「裸のランチ」などカルトな作品が多いイメージだったが、今作は男の孤独を描いたハードボイルドの王道とも言える内容だ。
ナオミ・ワッツが闇の世界に巻き込まれる気丈なヒロインを演じているが、なんといってもストイックなロシアンマフィア役のヴィゴの渋い魅力がたまらない。
オールバックに黒のロングコートと皮手袋、くわえタバコのいでたちといい、落ち着いた振る舞いの中に複雑な感情を内包した表情といい、いぶし銀な演技が光る。今まであまり意識してなかったがなかなか演技力のある俳優だな。
物語のハイライトであるサウナでの格闘シーンは丸裸なだけに強烈なインパクトを残す。とはいえ滑稽な感じは全くなく、緊迫感あふれる生々しい死闘に圧倒される。ただ、撮影はかなり大変だっただろうなと…(アングルとか)。
状況設定や人間関係の背景などを出来る限り排除しているのでやや展開が掴みにくいものの、説明しすぎない事で逆にマフィアが暗躍する裏社会の底知れぬ暗さを際立たせている。全体的に青みがかった薄暗い画面作りもGOOD。
派手な銃撃戦やアクションバリバリのハリウッド映画とは違い、冷酷と信念が絡み合うギリギリの緊張感を上手く捉えた社会派サスペンスだ。
ところでタイトルの「イースタン・プロミス」はどういう意味だろうと思っていたら、どうやら作品のテーマである人身売買の事らしい。

★★★★
[ 2009/11/15 21:29 ] ホラー/サスペンス | TB(0) | CM(0)

枡野俊明「禅、シンプル生活のすすめ」 

禅、シンプル生活のすすめ (知的生きかた文庫)
久々に良い本を見つけた。
著者は枡野俊明(ますの しゅんみょう)という、寺の住職であり庭園デザイナー。
近年、国内だけでなく海外でも人気の「禅」をテーマにしたエッセイで、そういった本は色々と出ているようだが、この本はとにかく読みやすい。
禅の精神に基づいた日々シンプルに生きるコツが100項目挙げられており、一項目につきほんの1ページなのでどこをめくっても気軽に読める。
例えば…
「ボーッとする時間をもつ」―仕事や時間に追われる中で見失いがちな、本当の自分の姿を取り戻す
「脱いだ靴を揃える」―ささいな事でもきりっとした習慣を身につければ、自然と生き方も美しくなる
「字を丁寧に書く」―一本の線から今の自分自身が見えてくる
「起こっていない事で悩まない」―不安とは自分の心が作り出した実体のないもの
「自分の頭で考える」―学んだ「知識」をどう生かすかが「知恵」である

こういったごく身近で簡単な事が禅的思想を交えつつ語られていて「なるほどなぁ」と感心しきり。
よく読むと同じような事が何度か書かれたりしているが、堅苦しい理論や押し付けがましさがないところがいい。
「枯山水」「無念無想」「一期一会」「わび・さび」などの用語もわかりやすく説明されているのでちょっとした入門書にもなる。
禅というと厳しそうなイメージがあったが、あるがままを受け入れ、物事をシンプルに考え、無駄をなくすという「自然体」の精神がこの本からは伝わってきた。
「忙しい・余裕がない」と感じている方はぜひ読んでみるといい。気の持ち方ひとつで悩みが悩みではなくなるはずだ。

★★★★★
[ 2009/08/07 20:57 ] 漫画、その他 | TB(0) | CM(0)

水原秀策「サウスポー・キラー」 

サウスポー・キラー (宝島社文庫)
あらすじ:人気球団オリオールズの投手・沢村は、身に覚えのない八百長疑惑によって自宅謹慎処分を受ける。自身の潔白を証明するため告発文書の調査に乗り出す沢村を待ち受ける陰謀とは…?

第3回「このミス」大賞受賞作。
俺は野球に関心がないので詳しいシステムはよく分からないが、選手生命の危機に立たされた男が野球界の裏事情に踏み込みつつ逆境に立ち向かう話。
野球ミステリーというやや異色のテーマで描かれているが、正直言ってミステリーという感じはない。
犯人は簡単に想像がつくし、巧妙に仕掛けられたトリックも無し。ハードボイルド・タッチのサスペンスと言った方がいいな。
人気球団の投手なのにどこか冷めた主人公・沢村、知的で魅力的な女優・黒坂美鈴、沢村に脅しをかける謎の男・高木。主要人物はこの3人で、彼らのやり取りが事件をより発展させていくんだが、残念ながら俺は最後まで沢村が好きになれなかった。
なんか、台詞の端々がやたら鼻につくんだよな。わざとそういう描き方をしているってのもあるだろうが、淡々としていてあまり共感できない。
逆に高木は「ゆすりのプロ」として独自の美学を持ち、飄々としてつかみ所がないが存在感は抜群で気に入った。

内容の方は可もなく不可もなく。
沢村に起きたスキャンダルを発端に、魅力的な女性との出会い、次第に明らかになる野球界の闇の部分などがオーソドックスに描かれている。
犯人は分かっていたものの、事件の真相は「なんだそんな事か」とちょっと期待はずれ。
途中でややダレる部分もあるが、サスペンスなシーンと試合のシーンを使い分け、全体的にはテンポ良くまとめていると思う。
でも普通だな。このミス大賞という言葉に期待しすぎたか。

★★★
[ 2009/08/06 20:45 ] 作家 は〜わ行 | TB(0) | CM(0)

Simon & Garfunkel@ナゴヤドーム 

サイモン&ガーファンクルのすべて
7月8日、ナゴヤドームでサイモン&ガーファンクルの来日公演が行なわれた。
16年ぶり、しかも年齢的におそらくラストチャンスという事でギリギリで買ったチケットを手に見に行ったのだが、これが素晴らしく良かった!
ポールと共に登場したアートの「コンバンハ、ナゴヤ」で歓声と拍手が起き、「ソウデスネ、あのー…(特に続きなし)」で笑いを取りつつツアータイトルでもある「Old Friends」でスタート。そして日本でもドラマの主題歌に使われた「Hazy Shade Of Winter」と続く。
「I Am A Rock」はオリジナルよりキーが低くアレンジも違ったので、アートの調子が悪いのかと心配したが、以降は全く問題なし。美しい高音を聞かせてくれた。ポールも張りのある歌声と見事なギターテクを披露して観客を魅了。
個人的に大好きな「Scarborough Fair」は生で聞けて鳥肌が立った。
「コンドルは飛んでいく」で哀愁に包まれた後アートのソロコーナーになり、これまた大好きな「Bright Eyes」〜「A Heart In New York」の間には「sweet Michael Jacksonへ」と追悼の意を込めて曲を捧げていた。
代わってポールのソロコーナー。ポールのソロ曲って実はほとんど知らなかったんだが、S&Gとは違うファンキーなムードが味わえて楽しくなった。
「明日に架ける橋」はイントロのピアノでもう会場が沸き、1番アート、2番ポールと歌うたびに拍手が起こって、明らかに特別な雰囲気に包まれてたな。歌い終わるとそれまで座っていた観客も皆スタンディングオベーション。
2度にわたるアンコールでは更に盛り上がり、今までの大人しさが嘘のように手拍子が鳴り響いて感動した。バンドも一層力強くノリノリで演奏してくれ、会場全体の一体感がたまらなく気持ちよかった。
拍手喝采の沸き起こる中、二人は手を取り合い何度も深々とお辞儀をして退場。素晴らしい2時間だった。

これで二人とも67歳とは信じられないな…すごすぎる。
全盛期の完璧なハーモニーには及ばないが、今の二人にしか出せない味わい深さみたいなものがあったし、何といってもとにかく曲がいい。それを豪華な生演奏で堪能できただけでも充分だ。
ナゴヤドームにしては音響も良かったし、「The Boxer」ではテルミンまで登場してびっくり。
ギターのマークさん、特にすごかったな。チェロ、サックス、ケーナ、更にコーラスとマルチすぎ。弟子入りしたい。
感動的なコンサートだったが、「59番街橋の歌」 がなぜか生歌じゃなく、スクリーンに映る二人の写真にBGMとして使われただけだったのは残念。
でもまぁいいや。“永遠のデュオ”の公演に立ち会えたんだから。
年齢層は高めだったが若い人や家族連れも結構いたし、もし今迷っている人がいたら絶対行くべし。

セットリスト:
[ 2009/07/11 23:05 ] US | TB(0) | CM(0)

Glasvegas 

Glasvegas
孤高度 ★★★★★
2003年に結成されたスコットランド・グラスゴー出身の4人組バンド、グラスヴェガスのデビューアルバム(2008)。
今はなきクリエイション・レコーズの総帥アラン・マッギーも絶賛!と聞いたのでとりあえず買ってみた。
ノイジーなギターの中にどこか切ない繊細さが入り混じったサウンドが特徴。
ゴッホの「星月夜」にインスパイアされたアートワークはこのバンドのイメージを上手く捉えていると思うが、「暗い激情が渦巻きながらも静寂に包まれた夜」の雰囲気がアルバム全体から伝わってくる。
シングル曲「Geraldine」や「Daddy's Gone」はかなり良いな。鬱憤を吐き出すように歌うジェームズのボーカルが効いてる。
それとこのバンド、大げさなぐらい前時代スタイル。メンバーの写真を見たらメンバー全員(女性ドラマー含め)エルヴィスばりのオールバックと黒の皮ジャンで、どんな時代錯誤者だよと思ったが本人たちは至って本気らしい(ちなみにNME Awards 2009ではエルヴィスの「Suspicious Minds」をカヴァー)。
厭世的な歌詞が多く、「Stabbed」なんてベートーベンの「月光」をバックにいじめられっ子の心理を切々と朗読。このポエムは正直微妙だが…
ジザメリが引き合いに出されるようにサウンド面でも最近のバンドとは一線を画していて、独特の存在感を放っている。
悪い意味でなく青臭さ全開って感じで、ハマればクセになるかも。
陰鬱さと高揚感をあわせ持ったスタイルはほぼ確立されているので、あとは曲のアレンジをもっと増やして欲しい。
[ 2009/07/07 23:53 ] UK | TB(0) | CM(0)
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Author:Oops!
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